ベトナムインターンシップ
インターンシップ開始の3ヶ月前。。。
2019年、4月、なんとなくホーチミン市(旧サイゴン)に1人で調査旅行にでかけた。サイゴンとはなぜか昔から縁がある。
18歳の時バックパッカーだった自分がカンボジアからバスでベトナムに来てはじめて降り立った街がサイゴンだった。
路上に民家への宿泊を斡旋する子どもたちがウロウロしていて、その子達に連れられて路地裏に入っていき人生初の民泊を体験をした。1999年である。AirBnBができるよりもはるか昔の民泊は、 ホテルに泊まるより破格に安く、一泊3ドルだった。(当時はアジア通貨危機直後の混沌とした時期で、米ドルが使えた。)
それから時は経ち、独立した後、500 Startupのアクセラレータープログラムに参加してマウンテンビューの500のオフィスで仕事をしている時に同じ部屋にいたチームにサイゴンから来たスタートアップがいて すぐに仲良くなった。
その後、弊社で新しいサービスのデザイナーをElanceで探していた時、たまたま「この人がいい!」と直感的に感じて仕事を依頼したデザイナーがサイゴンのデザイナーだったりと、 1999年から一度もこの街に来なかったのに、不思議な縁を感じていた。
今回
- ベトナムとなんらかの関わりを持ってビジネスをしてみたい
- ベトナムのエンジニア、エンジニアの卵にあって、力量を見てみたい
- サイゴンにいる友だちに久しぶりに会う
ということを漠然と考えたまま何のスケジュールもアポないままサイゴンに来た。
ホテルは、20年前と同じ、バックパッカーのあつまるファングラーオ通りにした。20年前とはだいぶ変わったが、なにか同じ匂いを残していて嬉しくなった。
最初の2日日、昼はホテルの向かいのスターバックスのテラスでアイスコーヒーを飲みながら、ぼーっと通りを眺めて過ごし、夜は友達と食事をしたりして、アウトプットゼロで過ごした。
3日目からこれはいかんと思い、行動を開始。そこからいろいろなことが起こり、2ヶ月後、私は、ベトナム、(サイゴンではなく)ハノイでインターンの面接会をしていた。
...
もともとインターンシップを受け入れることを計画してサイゴンに来たわけではないのですが、サイゴンの理系大学を見に行ってみたときに、事務局を訪れ、インターンの募集のようなことが将来できるのか、 聞いてみようと思ったのがきっかけでした。サイゴンの大学では、担当者のメールアドレスを教えてもらえたくらいでしたが、 その後、ハノイを訪れたとき、同じようにハノイの理系大学を2校訪問したところ、一方の大学で、偶然学生のキャリア担当の人に会うことができました。 キャンパスのカフェテリアでゆっくりと話を聞いてくれることになり、それでは、こちらも失礼のないように、インターンシップを受け入れるとしたらどのような受け入れ体制や教育などができるかを 細かく説明したところ、担当者の方が信頼してくれて、正式に校内に募集をかけるのを手伝ってくれることになりました。 将来的にできたらいいなと考えていたのですが、これほど強力な支援を得られる機会はないだろうと思い、その年の夏休みに間に合わせるために急いで募集要項を用意しました。
7名の学生が募集してきてくれました。
面接は、2019年の6月、ハノイでできたばっかりのコワーキングスペースの一室を借りて行いました。 まだオープする前だったのですが、連絡したら会議室を貸してくれました。 面接では、
- 自分がいままで作ったもの・作っているもの
- 応募した理由
の2点を時間をかけて聞きました。1点目は、技術・ものづくりへの興味と情熱をどれほど持っているかを知るため、 2点目は、こちらの募集要項をどれくらい読んでくれたかということを知ることと、日本への何らかの個人的な関心があるかどうかを見るためでした。
今回、募集要項には日本語は必要ない、最低限の英語ができればOK、というふうに書いていました。日本語の能力は全く見なかったですが、日本に何らかの個人的な関心があることが、 インターンシップの経験を充実させるために重要だと思ったからです。また7人の中にそういう学生は結局一人もいませんでしたが、キャリアアップのためだけに応募してきた学生ではないこともこの日本への関心の ストーリーを聞く過程で見極めようとしていました
どの学生も優秀で真面目、日本への関心という部分に関しても個々のストーリーがあり、選ぶのは非常に難しいと感じましたが、 面接で自分が作ったものをデモしてくれた2名の学生の印象が面接後も残っていて、この2人にオファーを出すことにしました。
今考えても7人のうち誰がきたとしてもよかったなと思えるほど良い学生たちでした。
2019年の7月に一人目のインターンシップ生、ゾンくんが日本にやってきました。 7月の1ヶ月はゾンくん、8月からはゾンくんと入れ替わりでもうひとりの大学生、ミンくんを受け入れました。 ゾンくんは人生2度めの海外渡航、ミンくんに関しては生まれてはじめての海外でした。
18歳のころには、一人でいろんな国を旅していた恵まれた国の私からすると、2人はまだおこちゃまといった感じで、ランドリーの使い方、買い物の仕方、 SUICAの使い方、などなど生活のしかたを教えるところから始まり、会社では、二人が挑戦してみたいと言ったAndroidアプリの開発の仕方を一から教えました。
ミンくんのほうはちょうどタイミングが合って実際に弊社で開発していた製品の一部を実装してみる体験をすることもできました。 インターン中は、質問にはすべてこたえながら動作するデモも即興で作って見せてあげる、という毎日がハッカソン状態で、正直ものすごくエネルギーが必要でしたが、
インターンシップの最後には、2人に自分たちが作ってみたいアプリを完成させてあげることができました。
2ヶ月のなかで、東京観光にも連れていきました。スカイツリーに登ったり、英語でもできるリアル脱出ゲームに行ったりと、仕事以外の部分でも楽しんでもらえたと思います。
煩雑なビザの発給手続きや、宿泊施設の準備、などなどいろいろなことを乗り越えて、
2ヶ月のインターンシップを2人のベトナムの学生が病気や怪我もなく元気に終えられるようにできたことは私達にとって大きな経験になりました。